中小企業庁では中小企業の取引適正化の重点課題の1つとして「支払条件の改善」を位置付けています。その改善を推進するため、下請中小企業振興法3条1項の規定に基づく振興基準が改正されました。
なお、この基準は令和6年11月1日から施行されています。
公正取引委員会が、手形等が下請代金の支払手段として用いられた場合の指導基準および指導方針を変更したことを踏まえ、親事業者および下請事業者の行動に関する事項が規定されました。
そのなかで、下請代金の支払方法の改善として、親事業者が下請代金を手形等で支払う場合、業種を問わず60日以内とすることを徹底する旨や、下請代金の支払いはできるかぎり現金とし、賃金に相当する金額については、全額現金で支払うものとすることなどが規定されました。
また、「一括決済方式」とは、下請事業者が、債権譲渡担保方式またはファクタリング方式もしくは併存的債務引受方式により金融機関から貸付けまたは支払いを受けることと、より詳しく規定されました。
公正取引委員会が公表した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」等を踏まえ、下請法上の買いたたきの解釈・考え方がさらに明確になるよう、下請法運用基準の改正を行なうことを踏まえた、親事業者の行動に関する事項が規定されました。
買いたたきとは、「下請事業者の給付の内容と同種または類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること」、通常支払われる対価とは、「当該給付と同種または類似の給付について当該下請事業者の属する取引地域において一般に支払われる対価」とされています。
通常の対価を把握することができないか困難である給付について、「通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額」として取り扱うものとして、「従前の給付に係る単価で計算された対価に比し著しく低い下請代金の額」などの例示もされています。
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック